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肉用牛環境対応収益性向上管理技術普及事業

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飼養管理マニュアル

4.飼養管理-肥育牛の飼養管理


ポイント

増体、肉質の仕上げに備え、環境を整え、日常の観察を徹底します

飼養管理の共通点

飼料給与のやり方は様々ですが、ストレスのない環境の整備と肥育ステージに合わせた飼料給与、観察の徹底による損耗防止は共通です

ストレスのない環境の整備と観察を徹底します。
導入時のワクチン接種、ビタミン剤、駆虫剤投与、暑熱・寒冷対応、群構成(月齢、体重等)、十分な幅の飼槽、給水施設、削蹄、導入時、飼料切替え時、飽食となる肥育後期は観察を徹底。

肥育ステージに合わせ、粗飼料と濃厚飼料の飼料設計を行います。


■ 一般的な肥育方法

肥育前期(導入から14か月齢程度)

第一胃の発達は続いており粗飼料主体に濃厚飼料増給に向けた「腹づくり」をします。
濃厚飼料多給で皮下脂肪厚、尿石症、第一のpH低下(アシドーシス)でパラケラトーシス、肝機能障害等のリスクがあります。

肥育中・後期(21か月齢程度まで、出荷まで)

中期は脂肪交雑が進む時期でビタミンAのコントロールはこの時期のみ有効です。
段階的な濃厚飼料の増給、粗飼料では段階的な稲わらへの切り替えを行います。


■ 肥育牛での疾病と対策

導入時の呼吸器病
  • 輸送、新たな群によるストレスで免疫力が低下
  • 市場上場前の混合ワクチンの接種、導入後のビタミンA補給
ビタミンA欠乏症
  • 急激な増体時の不足で食欲低下、視力低下、肝障害、 筋肉水腫(枝肉のズル)など。
  • 誤ったビタミンAコントロール(効果があるのは脂肪交雑ができる肥育中期のみ)が原因。移動時、暑熱時のビタミンA補給にも注意。
ルーメンアシドーシス
  • 穀物多給で乳酸が蓄積しpHが下がってアシドーシスになりやすい。
  • 盗食など穀物の大量摂取などによる急性にものでは腹部が拡張し疝痛、下痢、脱水などが見られ、大量摂取直後であれば飲水制限と乾草給与でで様子をみるが、症状があれば獣医師に相談。
  • 亜急性(SARA)の場合は、第一胃炎や不全角化症や肝障害などの原因となる。
肝障害(肝炎、肝膿瘍)
  • 濃厚飼料の多給による慢性的なルーメンアシドーシスに伴い発生することが多く、食欲欲低下、肝膿瘍では明らかな症状もなく突然死するなど重症例では死廃事故を招く。
    また、慢性例ではいわゆる“のこくず肝”となり廃棄の原因となる。
尿石症
  • 過剰に摂取されたカルシウムやマグネシウムなどが、脱落した上皮細胞などを核に結晶化し、結石となって尿管や尿道を塞ぐ。
  • 初期には陰毛に結石に付着が見れ、重症では著しい痛み、尿閉起こし膀胱破裂、尿毒症により死に至る。
  • カルシウムとリンのバランスと取れた飼料給与、十分な給水により予防する。
鼓張症
  • 第一のガスが排出されず左腹上部、末期には腹部全体が膨満。
    急性では、呼吸障害、循環障害で死亡。慢性で食欲停滞。
  • 発酵しやすいマメ科牧草や穀物飼料の多給、粗飼料不足が原因。
    軽傷では引き運動、腹部マッサージ、緊急の場合は套管針やカテーテルでのガス抜き、消泡剤の投与などを行う。
蹄葉炎
  • 穀物の多給によるアシドーシスや肝炎炎などの炎症により血管の異常がおき蹄の循環障害がおきて、異常姿勢や運動障害がおきる。
  • 急性例ではルーメンアシドーシスの治療や 抗炎症薬、鎮痛薬の投与、慢性例では過剰に伸長した蹄の整形が行われる。
脂肪壊死症
  • 腹腔や骨盤腔内の脂肪組織が変性壊死して腫瘤物となり、 腸管などを圧迫して食欲不振や下 痢起こす。
  • 過肥を防止することが重要。