新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。

昨年は、コロナ禍に続き、不安定な国際情勢や円安の中で配合飼料をはじめとする関連資材の価格も高止まりし、さらには、諸物価高騰の中で枝肉相場も力強さに欠け、肥育牛経営の厳しさが増し、結果、子牛価格も大きく下落するなど、肉用牛生産にとって厳しい1年となりました。

このような情勢を受け、従来からの経営安定策とともに緊急、臨時の経営支援対策、需要創出対策が次々と打たれ、また、自給飼料の増産や堆肥をはじめとする国内の肥料資源の有効利用が言われた年でもありました。

このような事態も踏まえはじまった、持続可能で強固な食料供給基盤を確立するための食料・農業・農村基本法の見直しの議論も大詰めとなっており、その中では、適正な価格形成の仕組みの構築や環境と調和のとれた持続可能な農業への転換、そして人口減少も踏まえた農地と農家の確保に向けた検討なども行われてきています。

また、昨年暮れには、このような課題にも対応するため、食料の安全保障の強化に向けた構造転換、物価高騰等の影響緩和、輸出拡大や持続可能な成長に向けた農林水産施策などを柱とする補正予算も措置されたところです。

肉用牛生産分野で課題とされてきた牛肉輸出の拡大については、関係者のご努力もあり過去最高であった一昨年を上回るペースになっています。また、もう一つの課題であったこれら国内外の需要拡大に対応した生産基盤の強化については、現下の需給状況も踏まえ繁殖雌牛の増頭を更新に切り替えてその質的な基盤を強化し将来の増産の備えにしていくこととされています。

最近の肉用牛生産をめぐる情勢には大変厳しいものがございますが、牛肉はハレの日の食材であり豊かな食生活の象徴でもあります。そして我が国の肉用牛生産は、その良質な牛肉の安定供給に加え、飼料生産を通じた国土の有効利用や農山村地域の活性化に大きな役割を果たしてきております。

当協会では、子牛の不足払い制度の円滑な実施に資する事業や経営安定のため緊急、臨時の対策に加え、生産基盤の強化、そして生産コスト低減だけでなく環境負荷の軽減にもつながる生産性向上、多様なニーズに対応した肉用牛生産など持続可能な肉用牛生産の振興に取り組んでいます。

新たな年を迎え、肉用牛生産者、関係者の方々にとってよい年となるよう、当協会も肉用牛生産の安定と持続的な肉用牛の振興に全力を尽くして参りたいと決意を新たにしております。

本年も皆様のご支援をお願い致します。


一般社団法人 全国肉用牛振興基金協会
代表理事会長 森山 裕