当協会でアニマルウエルフェアの指針に沿った肉用牛の除角、去勢の検討を進めています
令和5年に農林水産省からアニマルウェルフェアに関する新たな指針として「畜種ごとの飼養管理等に関する技術的な指針」が示されました。肉用牛生産分野では、ほとんどの項目について指針に沿った飼養管理がされていますが、去勢、除角については、慣行として、指針で望ましい時期として示された月齢ではない時期に実施される例が多いことから、除角、去勢の在り方について国の支援もいただき検討を進めています。
5年度は、生産者、獣医師ほかの協力も頂き実際の実施状況を取材させていただき、改善すべき点の整理をさせていただきました。
指針では、去勢の早期の実施とともに、麻酔・鎮痛剤の投与による除角・去勢時の疼痛の緩和が推奨されていますが、これらの措置等は生産性向上の面でも有用であるとのデータも示されています。
このため、6年度は、別途国内外での鎮痛剤等の調査を行うとともに、具体的な鎮痛・鎮静措置を講じたモデル的な除角・去勢動画の作成により指針に沿った除角、去勢の在り方をお示ししています。
5年度の取りまとめ
6年度の取りまとめ(動画)
動画で使用している鎮静・鎮痛や保定方法は生産現場で使用・実施されている例を参考に産業獣医師や大学の研究者等の協力もいただき、当協会で整理したものです。
- 除角・去勢工程
(当該動画は出血シーン等も含まれるため畜産技術者等(教育機関、産業獣医師、関係機関(国・自治体、農協等)、生産者)に限定して公開いたします。視聴希望者は、氏名、職業、視聴目的を記載の上、メールタイトルに「除角等動画視聴希望」として、shinko@nbafa.or.jp まで送信してください。確認の上、視聴用アドレスをメールの返信にて送付いたします。)
国内外における鎮痛剤等の調査について
【背景】
除角、去勢等の外科的措置に関して、アニマルウェルフェアの技術的指針では麻酔薬や鎮痛薬の使用が推奨されています。 しかし、現時点で牛用として承認されている薬剤は注射薬のみであり、獣医師の関与が必須です。他の畜種や人用で承認されている獣医師以外でも投与が可能な塗布剤や経口剤の鎮痛剤等であれば、獣医師の処方により生産者自身でも投与が可能となる場合があります。 また、他の動物種向けに承認されている経口剤なども獣医師の処方により使用は可能ですが、これらを肉用牛に使用した場合の体内動態等の情報は広く共有されていません。このため、これら薬剤の国内外の承認状況や体内動態の文献の収集等を一般財団法人生物科学安全研究所に依頼して、取りまとめました。