ALIC「畜産の情報」(8月号)に米国でのアニマルウェルフェア(AW)への対応が紹介されています
(独)農畜産業振興機構(ALIC)の情報誌「畜産の情報」の8月号に調査情報部でまとめられた「米国畜産業におけるアニマルウェルフェアの対応について」が掲載されています。
米国での法的規制としては、連邦政府によるものとして、家畜の輸送時連続28時間以上車両に閉じ込めることが禁止され、と畜場での人道的な取扱いとと畜が義務付けられているとのこと。
州政府段階の規制としては、各州では動物の取扱いに関する法律が整備されているが、50州のうち37州で家畜への法適用を除外。しかしながら消費者のAWへの関心を背景に議論が活発化し、肉用牛関連では、一部の州で子牛用ストールの禁止・制限、飼養牛の断尾の禁止・制限が行われ、一部には畜産業界から強い反発があるとのこと。
食肉消費者の調査では、持続可能な畜産への関心の高まりが見られ、その課題として、AWは抗生剤・ホルモン剤の使用の46%に次いて二番目に多い44%となり、カーボンフットプリント(温室効果ガスの排出量)を上回っていたとのこと。
このような状況の中、畜産業界の取組みも活発化してきており、肉用牛・牛肉業界では、全米肉用牛生産者・牛肉協会(NCBA)が事務局となって「持続可能な牛肉のための米国円卓会議(USRSB)」を設け、生産から小売・外食業者のセクター別に目標・指標を設定。また、NCBAは、AW、労働安全、環境配慮し、健康・安全な飼養を保証する牛肉品質保証(BOA)プログラムを運用しており、認証を受けた生産者が生産する牛肉は米国産牛肉の85%を占めるとのこと。
業界が一体となって、生産者に過度な負担をかけないよう留意しつつ取組みが進められているが、生産者が家畜、家きんを大切に扱うストーリーを発信することが必要との声もある中で、今後業界団体がどのようにAWに向き合い、消費者や投資家に向けて発信するか注目が集まっているとのこと。
詳しくは、米国畜産業におけるアニマルウェルフェアへの対応について|農畜産業振興機構をご覧ください。