Ⅰ.施設、環境の整備
- 必要な広さを確保し、採光、暑熱・防寒対策、換気、衛生対策ができる施設、争いなく清潔な飼料・水を供給できる飼槽、給水施設の整備します。
- 適温域は発育段階により異なります。湿度、送風、換気にも注意し暑熱・防寒対策の実施します。
Ⅱ.観察、記録
飼養管理の基本、分娩間隔短縮、損耗防止も観察、記録から
- 毎日よく観察し、観察記録、個体ごとの記録、繁殖カレンダーを作成します。
規模が大きくなったら牛群管理システムの利用の検討も。
Ⅲ.飼養管理
繁殖ステージに合わせた適切な飼料給与、痩せさせない管理
発情観察・発見、適期授精、適切な分娩管理と記録
- 成長、胎子の発育、泌乳量も考え、栄養度を確認しながら、胎子が急激に発育する妊娠後期や授乳期の増飼いなど痩せさせない管理と健康な産子を得るための管理を行います。
- 個体ごとの繁殖記録を確認し分娩後25日以降の朝夕の発情観察、適期授精を徹底します。最近ではICT機器の利用も増えています。
- 候補牛は、育成期は過肥とならないよう5~6か月齢程度まで濃厚飼料中心、その後徐々に良質粗飼料主体に給与し、体重300kg、体高120cm以上を目安に初回の授精を行います。
事故多発時期、分娩準備と分娩予知、分娩の立ち会いで事故防止
難産は母子ともに疲労、その後の繁殖、発育に影響
- 予定日、前回分娩時の状況を確認し、分娩房の準備と移動、介助器材、保温器材の準備をはじめます。
- 予定日の1週間前から兆候を観察(ICT機器も活用)し、分娩の兆候が あれば立ち会いの準備をします。
- 可能な限り立ち会い、二次破水したら胎位を確認、つなぎが出てきたら、いきみに合わせて牽引します。
出血があったり分娩が進まない場合は獣医師に連絡します。
- 分娩後、子牛は、気道の確保、へその緒の消毒をし、母牛に舐めさせたり、タオルなどでよく拭いて体を乾かし、体温低下に注意します。
母牛は、外陰部周辺はや乳房を消毒、ビタミン剤などので栄養補給をし、その後後産の排出を確認し廃棄します。
子牛には分娩後6時間以内には哺乳欲を待って清潔な初乳を給与します。
発育のパターンに合わせた飼料給与
4か月まで体高の伸びが最大 → タンパク質含量の高い飼料(人工乳)
4か月以降体重増加が最大 → エネルギ-含量が高い飼料(育成用飼料)
初期に大きく増体、管理の要否はその後の生産性を大きく左右
哺育牛は寒冷に弱い
- 衛生的な環境で十分な初乳を給与し、冬場はしっかり保温します。
- 母牛の栄養管理に注意し、哺乳状況を確認。不足が疑われる場合は代用乳も利用します。
人工哺育の場合は徐々に代用乳に切り替え、群飼い、ロボット利用の場合は機器の管理、衛生管理に留意します。
- 5~7日目くらいからきれいな水と一緒に人工乳の給与や粗飼料の給与をはじめます。
- 2、3か月齢で人工乳をしっかり食べるようになったら徐々に哺乳量を減らし離乳します。

熊野子牛育成マニュアル(H21)から
体重増加発育旺盛期、中後半は反芻胃も発達、成長に合わせて濃厚飼料、粗飼料を給与
哺育・育成期の発育のよい牛(体高、体重)は枝肉重量も多い
- ストレスを最小限とするため、飼料の切り替えは段階的に、群分けは月齢、性別を合わせ少頭数にして争いが起きないようにします。
- 肥育素牛では、前半は濃厚飼料、中後半は粗飼料中心で、しっかりした骨格づくり、肋張りのよい肥育に対応できる反芻胃づくりをします。
繁殖用の育成の場合も同様に過肥に気をつけます。
- 除角は生後2か月以内、去勢は3か月以内での実施が推奨されており、それ以外の場合も含め麻酔や鎮痛措置が推奨されています。
- 飼育エリア出入り時の消毒、母牛に栄養管理やワクチン接種、清潔な環境での分娩・初乳給与、農場に合わせた栄養補給、ワクチン接種などを行います。
増体、肉質の仕上げに備え、環境を整え、日常の観察を徹底します。
- 飼料給与のやり方は様々ですが、ストレスのない環境の整備と肥育ステージに合わせた飼料給与(前期は粗飼料主体の腹づくり、中後期は段階的な濃厚飼料の増給、稲わらへの切り替え)、観察の徹底による損耗防止は共通です。
生産方式の一つとして、多様な消費者ニーズにも対応し、飼料費も低減、温室効果ガスの排出による環境負荷の軽減ともなる、肥育牛の出荷の早期化が推進されています。